ソウルにて〜彫刻が教えてくれた看板の使命〜

ソウルではたくさんの彫刻を見つけました。

まちの景観を形成する建物、看板、緑。
そんな中で一際パワーを放ち、独特の非日常的な空気感を漂わせてくれる彫刻たち。
まちに生命力がみなぎり、人々に元気を与えてくれます。

看板はまちの景観をつくり出すだけではなく、まちの文化のバロメーターでもあります。
人は環境をつくり、環境が人をつくる。
人と環境は、ニワトリとタマゴのような関係です。
どんなまちで育ったか。
どんな家(建物)で育ったか。
人々の性格、気性はもちろん、価値観や生き方にまで住宅やまちの環境や空気感が大きな影響を与えます。
「看板をつくるのは、店主のためだけではなく、まちの文化や地域の子孫たちを育てる偉大な仕事である」という使命感を痛切に感じます。

この彫刻たちのように、まちが生き生きとし、人々が元気になれる。
私はそんな存在感のある看板を目指したいと思います。
この「おもしろ看板ギャラリー」もそんなポリシーで続けています。

「安い」「早い」「キレイ」という耳障りのいいうたい文句で、インクジェットシートなどデジタル出力の看板がまちに氾濫し、まちがだんだんチープになってまちの歴史や文化、景観がどんどん壊れていくことに強い危機感を感じます。
いつから看板は画一的で無個性、無機質なものになってきたのでしょう。
そのため、看板の役割が希薄になり、人々から期待されなくなてしまった。
急増する看板業の廃業がそれを物語っています。

人々に感動を与える看板。
味とぬくもりのある看板。
人の心をくすぐるユーモアのある看板。

看板は単に一方的なお店のメッセージを発信するだけではなく、お店と地域住民とのいい関係を形成するためのコミュニケーション手段でもあります。
ひいては、地域の文化やまちの景観までつくっていく。
心ある店主と使命感を持った看板屋さんが地域文化を担っているといっても過言ではありません。

人々をワクワクさせてくれる看板。
店主の個性がキラリと光る看板。
おもしろい看板でまちがギャラリーのようになったら!
まちを闊歩するする人々でまちは賑わいを取り戻すでしょう。
早くそんな日が訪れることを願って、これからもレポート頑張ります。

皆さんの温かい応援をお願いいたします。